今日の話題は、「いちじく」
いちじくは、漢字で「無花果」と書きますが、花が咲かないわけではなく、果実の内側に「隠頭花序(いんとうかじょ)」と呼ばれる小さな白い粒のような花をたくさん咲かせています。
外側から花を見ることはできないため、むかしは、花が咲かないで実がなると思われていて、この名前がついたのでしょうね。
実の外側は、花軸が肥大化したもので花嚢(かのう)と呼ばれます。普段食用にしている部分は花の部分です。
やわらかな果肉と、プチプチとした食感、やさしい甘さと特有の香りが魅力のいちじく。
6月からハウス栽培、8月から11月まで露地栽培のものが味わえます。
いちじくは日持ちがしないので、生果実の流通が難しく、ケーキやジャムなどの加工品に利用されることも多いですが、収穫方法や輸送技術の向上により完熟生果実をお届けできるようになりました。この機会に完熟いちじくはいかがでしょうか。
和歌山県のいちじく生産
和歌山県のいちじくの収穫量は、全国一位です。
県内のいちじくの生産地
主だった生産地は、紀の川市、和歌山市、岩出市、海南市、かつらぎ町です。
和歌山県の北部に位置するこれらの地域は、瀬戸内海式気候に属し、年間を通じて温暖で、日照時間も多く、降水量も少なくいちじくの栽培に最適な地域です。
和歌山県で栽培している主な品種は、「桝井(ますい)ドーフィン」。
桝井ドーフィンは、国内で生産されるいちじくの7~8割を占める最も流通している品種で、熟すと果皮は赤褐色になり、白い果肉の中心が淡い赤になります。味は、あっさりとした甘みとさっぱりとした風味が特徴です。
新鮮でおいしいいちじくの選び方
ぽってりと丸みがあり、付け根の切り口付近まで色付いている物を選びます。表面に張りがあり、傷や傷みが無く、切り口が新しいものを選びます。また、果実の先端部分が少し開いたものが一番の食べ頃です。
いちじくの保存方法
いちじくは傷みが早い果物なので、温度の高い場所には長時間おかないようにしましょう。ビニールやポリエステル製の袋に入れて冷蔵庫に入れてください。なるべく早く食べるようにしましょう。
食べきれない場合は、シロップで煮てコンポートにしたり、ジャムにすると保存できます。
冷凍保存する場合は、解凍してから食べやすいように、先に皮を剥いてからなるべく隙間がないようにラップにくるんで冷凍します。
豊富な栄養面と機能性に期待
いちじくは胃腸の調子を整えたり、疲労や眼精疲労の回復や、アンチエイジング効果、美肌効果が期待できる、魅力的な果実です。
いちじくの栄養成分の主だったものは、果糖、ブドウ糖などの糖質。他の果実と比較しても低カロリー、低糖質で、ダイエットにはうれしい果実です。
食物繊維も豊富で、このうち水溶性食物繊維が比較的多く含まれています。
食物繊維は、腸内環境を改善することで便通を整える働きがあるほか、水溶性食物繊維の一種のペクチンは、血糖値の上昇抑制、血中コレステロール値の上昇抑制など生活習慣病予防効果が期待できます。
栄養素の代謝に関係するビタミンB群は、粘膜の保護や健康な肌を作り、肌荒れを防ぐ効果があります。
無機質ではカリウムの他、カルシウムや鉄、亜鉛などがバランスよく含まれています。カリウムは、ナトリウムとバランスを取り合うことで体内の余分な水分を排出する働きがあるため、むくみ対策が期待できます。カルシウムや鉄、亜鉛などは、血や骨の素となります。
そして、果皮や果肉の赤い部分に含まれるのがポリフェノールの一種であるアントシアニン。アントシアニンは、強い抗酸化作用を持ち、眼の毛細血管の血流を改善することで、酸素や、栄養成分を送り、眼のピントを調整する毛様体の働きを良くして、疲れ目を回復させることで知られています。
乾燥させた実は、無花果(むかか)、葉は、無花果葉(むかかよう)として漢方の生薬にも使用されています。漢方の古書では「胃腸の働きをよくし、下痢を止め、痔やノドの痛みをなおす」とその効用が記されています。
□ わかやま食の総合ポータルサイト「おいしく食べて和歌山モール」