今回は、「三宝柑(さんぼうかん、または、さんぽうかん)」をご紹介します。
果梗部に、こぶのように突き出た部分があることから、仏教の宝珠にたとえられる独特な形をしています。和歌山原産の柑橘です。
起源は、明らかではないですが、地域に自生していた雑柑類から自然に生まれたものと思われています。
江戸時代には、和歌山城内で栽培され、珍しい品種のため、紀州の殿様の命令で、城外持ち出し禁止とされていました。殿様には三方(さんぼう)に載せて献上していたことや、形が宝珠に似ていたためにこの名前がついたといわれています。
明治時代になってから、一般に広められるようになりましたが、長らく和歌山県内だけで生産され、消費されていたため、全国生産量の約9割を県内で生産するという地域色の濃い果物です。
宝珠 :球形で頭がとがって、火炎が燃え上がっている形をした玉。
三方(さんぼう):神様のお供え物を載せるための台。または、高貴な人物に物を献上する際にも使用。
【特徴】
1個が200g~300g程度の大きさで、果皮は厚く、見た目はごつごつしていますが、やわらかくて剥きやすいです。果皮が厚い分、可食部が小さく、種が多いという特徴もあります。
果肉は淡黄色で柔らかく、多汁で、風味は淡白ですが、香りもよくさわやかな甘味があります。
また、皮は、形がユニークで、鮮やかな明るい黄色と、香りも良く、苦みもないことから、料理店でも容器代わりに使用されたりしています。
葉のついたものが出荷されていますので、茶碗蒸しやゼリー、シャーベットの容器にいかがでしょうか。
【旬・収穫期】
収穫期間: 早いものは1月頃から始まり最終5月頃まで収穫されます
収穫の最盛期: 2月中旬頃から4月
食べ頃時期:3月から4月
【主な産地】
湯浅町、田辺市、広川町
和歌山県の令和元年産の収穫量は487.8トンで、全国の9割以上を出荷しています。
(出典:特産果樹生産動態等調査より)
【選び方・保存方法】
皮の表面につやと張りがあり、ずっしりと重いもの。
表面にしわが増えているものは鮮度が落ちはじめています。葉の付いているものは、枝にしっかりついていることも目安になります。
保存としては、冷暗所に置けば数日はもちます。
【おすすめ料理】
ジュース、シャーベット、マーマレードに。果汁を絞ってお酒に注いでカクテルにしても。
〇わかやま食の総合ポータルサイト「おいしく食べて和歌山モール」