夏のおつまみといえば、ししとう!料亭の天ぷらや焼き鳥の付け合わせにも使われる大人の食べ物。たまに激辛にあたることもある、ロシアンルーレット的な要素があるイメージの野菜ですよね。
和歌山県では、辛味の苦手な人やお子様にも安心して「ししとう」を食べてもらえるよう、絶対に辛くない新品種「ししわかまる」を開発しました!辛味成分であるカプサイシンを作る遺伝子が”全くない”ことで、栽培時にストレスがかかっても辛くないという優れものです。
和歌山の産地では学校給食にも使用されていて、一口大で食べられるため、家庭用、お弁当用の一品としてもお使いいただけます!
このような面白い品種も含め、和歌山のししとうのあれこれをご紹介します♪
和歌山のししとう産地
和歌山県はししとうの生産量が全国で3位です。(令和2年産野菜生産出荷統計)全国生産量1位の高知県のししとうの栽培は、昭和13年に和歌山県から高知県南国市前浜へ移住した人たちによって広められました。和歌山県はししとう栽培の故郷なのです。
県内では有田地域でその多くが生産され、主な栽培品種は全国的に栽培されている「葵ししとう」と絶対に辛くないししとう「ししわかまる」です。
また、岩出市では、長さが10センチから15センチもある大きな「ねごろ大唐」が栽培されています。ボリューム感があり、ピーマンに比べてクセがなく、果肉が厚く柔らかいししとうです。
有田地域のししとう栽培の歴史
この地域は温暖な気候と適度な降雨量があり、小規模ながら個性的な各種農産物が栽培される環境です。
当地域でのししとう栽培は昭和30年代から盛んになり、昭和50年代の最盛期には旧金屋町管内では約300戸の栽培農家がししとうを生産。関西一円の市場に出荷され「紀州ししとう」のブランドが確立された時期もありました。その後、就農人口の減少により、現在、栽培農家は現在36戸と10分の1程度にまで減少しました。
そのような中、令和2年に和歌山県農業試験場暖地園芸センターが京都教育大学との共同研究で辛味果実が発生しない新品種の「ししわかまる」を開発しました。
(ありだ農業協同組合 蔬菜部会ししとう部門の生産者のみなさま)
絶対に辛くないししとう「ししわかまる」の育成
ししとうは高温、乾燥等の栽培環境により辛い果実が発生します。辛い果実は外観からは区別できないため、食べると辛い果実に“当たる”ことがあります。そのため、お酒のおつまみや辛くても良い、あるいは辛い食べ物の具材として使われることが多く、辛いものが苦手な方や、お子様には敬遠され、需要の幅は限定されてきました。
しかし、ししとうは栄養価の高い野菜であり、手軽に調理できるため、辛い果実が発生しなければ、辛いのが苦手な方や、お子様等もっと幅広い方々に安心して食べていただくことができ、需要の幅がもっと広がるのではないかと考え、和歌山県では「辛い果実が発生しないししとう」の育種に取り組みました。
和歌山県では古くからししとうが生産され、在来種として「紀州ししとう」があります。紀州ししとうは、近年、種苗メーカーの品種に替わり近年、現地では栽培されなくなりましたが、この「紀州ししとう」をベースに数年以上にわたって育種を行い、辛味成分であるカプサイシンを遺伝的に合成できないししとう「ししわかまる」が誕生しました。
「ししわかまる」の果実は全国的に栽培されている種苗メーカーの品種「葵ししとう」に比べ、緑色が濃い、果実が柔らかい、ふっくらとしている、種が舌に残らない等の評価をいただいています。
こだわりのししとうの栽培
*露地栽培:ハウスなどに入れず、外(露地)で栽培する方法
*促成栽培:ハウスで加温して栽培する方法
*半促成栽培:ハウスで加温せずに栽培する方法
図のように植え付け時期をずらしながら、ハウス栽培や加温をすることで年中食べてもらえるように工夫しています。
産地では、可能な限り低農薬栽培を目指すため、第一に土作りに重点を置いています。樹勢が強くないと病害虫の被害の元となるため、腐葉土や有機土壌改良剤などを投入することで、微生物などの活動が活発な腐植酸系の土づくりを目指しています。また、光合成を盛んにするため、整枝・徒長枝の誘引を入念に行い、光の入り具合と風通しが良くなるようにしています。さらに、露地栽培では台風、冷害・凍害などの自然災害から守るため、暴風設備や被覆資材などの準備も行っています。水管理については、マルチドリップ、散水チューブなどで徹底した管理を行っています。
【プチ情報】ししとうの名前由来って?
ししとうがらしの名前の由来は、実の先端が獅子の頭に似た形状をしているもので、和歌山県産のものを「ししとうがらし」と名づけたといわれています。
(出典:紀州の園芸)
ししとうの名前の由来にもなっている、獅子の頭のような形のししとうを育成してほしいと有田地域から要望があり、先端が獅子の頭のようになっている”ししとうらしい”「紀州ししとう」を元に「ししわかまる」が育成されました。
おいしい食べ方
ししわかまるはオリーブオイルなどで軽く炒めるとおいしくいただけます。生で刻んでサラダや冷やし中華、そうめんなどに入れるとシャキシャキ感とほどよい苦みが楽しめます♪王道の食べ方、トースターで焼いてかつおぶしとポン酢でいただくのもおいしいです!
刻んでサラダに入れてもおいしい!和歌山県×HIGH FIVE SALAD
日本初のパワーサラダ専門店「HIGH FIVE SALAD」にて、「ししわかまる」をはじめとした県産農産物を使用したパワーサラダが期間限定で販売されています!
東京での和歌山フェアに加え、ECでのパワーサラダの販売もありますので、ぜひご賞味ください♪
(和歌山県産いちじくとししわかまるのパワーサラダ)
〇わかやま食の総合ポータルサイト「おいしく食べて和歌山モール」